新幹線の走るまで 全32回

本誌初期の連載の一つに,東海道新幹線開業までの記録を記した「新幹線の走るまで」があります.1962年6月号(通巻12号)から1964年9月号(同39号)までの2年あまり,その時々に生じた出来事を写真によって記した一編です.  新幹線の工事は1959年に本格着工されました(一部は戦前の弾丸列車計画で施工済み).そうした中で,実際の新幹線車両(1000形A編成)が登場した1962年4月の事柄から当連載は始まります.なお,連載はひと月に1回ではなく,ひと月に2回,3回と記述されたものもあり,また休載の月号もあるので,合計32回の連載ではありますが,実際の収録は20ヵ月ほどとなっています.
 さて,車両の登場で始まった当連載は,その動向が中心となっています.A編成の組成が完了した連載2回目(1962-6)には「正夢超特急」の見出しで,室内や運転室などをグラフ展開,今ならば「新車速報」と言ったところでしょうか.連載7回目(1962-8)ではいよいよ試運転が始まり,9回目(1962-11)では160㎞/h運転,そして14回目(1963-1)ではついに200㎞/hに,そして16回目(1963-5)では最高速度256㎞/hを記録!こうして新幹線の目標であった200㎞/h運転に対し安全性が確認できました.それにしても,未知の領域であった速度帯に,車両登場から約1年ほどで達成できたことは,今にしてみても,驚異的な出来事に思えてなりません. なお,この間,ドクターイエローの始祖とも言える軌道検測車4001形のこと(連載11回目・1962-11)や新丹那トンネルの開通(12回目・1962-11),各駅の状況など沿線施設(31回目・1964-8など)の事情もその都度報告され,やがて量産車先行車(C編成)の登場から,量産車の製造へとつながります.